タクシードライバーの歩合制とは？給与形態を詳しく解説

タクシードライバーは「頑張り次第で稼げる職業」として知られています。その理由は、歩合制の給与形態にあります。しかし、タクシードライバーの給与形態を詳しく知らないと、いざ就職した時に後悔するかもしれません。そこで本記事では、歩合制の概要やタクシードライバーの給与形態について詳しく解説していきます。

そもそも歩合制とは

歩合制とは、売上に応じて給与が決まる仕組みで、タクシー業界などでよく採用されています。この給与体系には「完全歩合制」と「一部歩合制」の2種類があります。

完全歩合制

完全歩合制は、給与が売上と歩合率にのみ依存するものです。給与は「売上×歩合率」で計算され、売上が上がればその分だけ収入が増える特徴があります。

一部歩合制

一部歩合制は、固定給と歩合給の双方の利点を兼ね備えたシステムであり「（売上×歩合率）＋固定給」によって給与が決まります。このため、一定の安定収入が確保されながら、売上が上がれば収入が増えるという仕組みになっています。

歩合率は企業によって異なる

歩合率は企業によって異なり、一般的には50〜60％程度で設定されていますが、会社の規模によっても差が生じます。中小企業は歩合率が高い傾向にある一方で、大手企業は歩合率が低く設定される場合が多いです。

これは、大手企業が福利厚生やサポート体制を充実させているためであり、これらのコストが歩合率に影響しているからです。大手企業では福利厚生や研修制度などのサポート面が充実しているため、従業員の生活や仕事の安定を図る工夫がなされています。しかしその分、歩合率が低めに設定される傾向があります。

タクシードライバーの給与形態

タクシードライバーの給与形態には主に3つのタイプが存在します。

完全歩合給

1つ目は完全歩合給です。この給与形態では固定給がなく、全ての収入が売上から得られる歩合給のみで構成されています。ドライバーが頑張れば頑張るほど収入が増えるため、一定以上の売上を上げることができる経験豊富なベテランドライバーに向いているでしょう。

しかし、売上が少ないと収入も大きく減少するため、新人ドライバーにとっては安定性が欠けて難しい面があります。会社側にとっても、売上が低ければ支払う給与が少なく済むメリットがありますが、ドライバーの生活安定には課題があります。

完全固定給

2つ目は完全固定給です。この形態はタクシードライバーの中では少数派であり、主にハイヤー運転手や特定の専門タクシー運転手に適用されます。

固定給なので、売上や走行距離に関係なく毎月一定の基本給や各種手当、賞与が支給されます。収入が安定している反面、営業売上が収入に反映されにくいため、高収入を狙うのは難しいのがデメリットです。

固定給＋歩合給

3つ目は固定給と歩合給を組み合わせた賃金体系です。これは、タクシー業界で一般的な形態です。固定給に加えて歩合給が支給されるため、需要に応じた売上の変動リスクを軽減できます。

一定の固定収入があることで生活の不安が軽減されつつ、頑張り次第で収入を増やすことが可能となるのです。このように、固定給と歩合給の両方の利点を活かすことができるため、多くのドライバーに支持されています。

歩合給の計算方法

タクシーの歩合給は、タクシー会社によって異なる歩合率に基づいて計算されますが、その設定は大体50〜60％前後となっています。歩合率が高ければ、高いほど受け取る給与も増加するため、歩合率はドライバーにとって重要な要素です。

計算方法

計算方法は、完全歩合制と固定給・歩合制の2種類で異なります。完全歩合制では、給与は「売上×歩合率」によって決定されます。例えば、歩合率が60％で売上が100万円の場合、給与は「100万×0.6＝60万」です。

一方、歩合率が45％の場合、給与は「100万×0.45＝45万」となり、同じ売上でも歩合率の違いによって大きな差が生まれます。一方で固定給と歩合給を組み合わせた場合の計算式は「（売上×歩合率）＋固定給」です。

この方法では、一定の固定給があるため、売上に依存しすぎることなく、安定した収入が得られるというメリットがあります。

歩合給が高ければいいというわけではない

しかし、歩合率が高いほど必ずしも良いとは限りません。中には、車両や燃料代がその歩合率に含まれている場合もあり、実際に手元に残る金額が少なくなる可能性があります。したがって、歩合率だけに目を向けるのではなく、実際に引かれる経費についても十分に確認する必要があります。

会社によっては独自ルールや計算式が存在する

また、タクシー会社によっては独自のルールや計算式が存在し、実際の給与額が期待とは異なることもあります。例えば、一部の会社では売上のノルマを設定しています。

そのノルマを超えた場合には歩合率が高くなり、逆に超えなかった場合には低い歩合率が適用されることがあるのです。一方で、一律の歩合率を維持している会社もあり、それぞれの会社の方針によって給与体系は大きく異なります。

まとめ

タクシードライバーは、歩合制の給与形態によって「頑張り次第で稼げる職業」として知られています。給与は主に「完全歩合制」「一部歩合制」「完全固定給」の3タイプがあります。特に完全歩合制では売上に応じて給与が決まるため、経験豊富なドライバーに向いているでしょう。一方、固定給と歩合給を組み合わせた形態は、安定収入と高収入を両立できるため多くのドライバーに支持されています。ただし、歩合率が高いからといって必ずしも良いわけではなく、経費の確認が重要です。各社のルールや計算式も異なるため、就職前にしっかりと理解しておきましょう。